12.「ノアの教典」 12章「『スポーツ』~スポーツ業界の独立~」
厚生労働省は2018年に医療費の総額が概算で42兆6000億円になると発表しました。国家予算350兆円の内、国会などで議論されたりインターネット上で細かい内訳を公表しているのは一般会計と呼ばれこのうち約100兆円です。国債の返済が約20兆円あるので、実質的に使っているのは80兆円となり、そのうちの40兆円が医療費で占めていたのです。国家予算の半分を医療に充てていたと言っても過言ではありません。1992年では、医療費は約22兆円でしたが年々増え続けて2018年には42兆円にまで達したのです。日本の人口は減り続けていたのにも関わらず、どれだけのけが人と病人を増やしたら、倍増することになるのでしょうか。医療費だけでも、国民の負担はかなり大きくなっていたのです。ちなみに医療費の40兆円と言うのは、道路や建物など巨額な資金が動いていると思われる公共事業が約7兆円、教育が約5兆円、防衛費が5兆円でしたのでこれがいかに大きな予算編成を行っているか分かるかと思います。
政府は明らかに「医療」に対して、徹底的な優遇政策を行っていたのでした。教育では医学部が最高学部とされていましたし、医療費の7割を国が負担していたため、国民は医療機関を利用しやすく医療関連を営む事業者は多額の医療費や補助金を受け取り、他業種にはない巨額の利益を手にしました。また、自動車社会にして年間65万人(72年間の平均)もの負傷者を出し、医療を儲けさせていました。電車や飛行機など他の交通機関では年間死亡事故がゼロにもかかわらず、あえて運転者を自己責任に出来る危険な自動車社会を選んだのです。さらに、医療を儲けさせる政府の策略としては、仕事漬けにして奴隷のような日常を行わせ、労災や日常生活での健康被害も積極的に増やしていきました。様々な施策を行って27年で医療費をほぼ倍にまで引き上げることに成功したのです。国民が理想的で規則正しい日常生活を送ることになれば「医療」は決して儲かることは絶対にないのです。国民にとって、政府と医療との癒着は非常に危険な事なのです。
政府はけが人を増やす政策として目を付けたのが「スポーツ」でした。スポーツを利用して医療を儲けさせたのです。公益財団法人スポーツ安全協会が平成29年度に発行している「スポーツ外傷・障害予防ガイドブック」によると、
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スポーツ外傷は男子では小学校高学年(10~12歳)が最も多く年間3万6958件、次いで小学校低学年(7~9歳)が1万4531件、中学生(13~15歳)が1万2435件発生しています。また、女子も同様に小学校高学年(10~12歳)が最も多く1万4553件、次いで40代(40~49歳)が1万2197件、30代(30~39歳)が7685件発生しています。
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政府がデータをインターネットで公表していないため、調べることが出来ませんでした。これら一部の件数を合わせると年間9万8359件となります。これは男女の発生件数上位3位までを合計しているので、全てのスポーツ外傷を合わせると最低でも15万件くらいはいくのではないかと思います。さらに、スポーツ外傷とは別にスポーツ障害というのもあります。こちらに関してはデータを見つけることが出来ませんでした。予測しか出来ませんが、どちらも合わせると年間スポーツによるけがは20万件以上発生しているのではないかと思います。交通事故では72年間の平均で年間65万人の負傷者が生まれており、スポーツでのけがが20万件というのは、交通事故の3分の1程度ですが、かなり医療に貢献していたと考えられます。
今では考えられないかもしれませんが中学や高校の陸上部では、長距離走にもかかわらず疲労骨折を起こし、背骨までを折っていました。まだ、身体が成長期にもかかわらず、自衛隊と同じトレーニングメニューを取り入れているという指導者まで現れました。大会での実績ばかりを評価する風潮は指導者たちの思考を変え、スポーツによって得られる楽しさや子ども達の健康よりも、結果を求めるようになっていました。
2018年10月21日開催された第4回全日本実業団女子駅伝予選会「プリンセス駅伝」では、選手が残り100m地点で右足の脛骨を骨折し、四つん這いで次の選手まで襷を渡しました。実業団のチームメンバーは皆、疲労骨折で足の太い骨が折れるほど、過酷な練習に耐えて駅伝に臨んでいます。それを選手たちが一番分かっているからこそ、自分の怪我のためにレースを棄権することだけは避けたい。そんな思いで、両膝を擦り剥き、血を流しながら、必死に襷を渡そうとする姿に視聴者の多くが心を打たれたのではないかと思います。傷つきながらも決して諦めることなく、戦う姿に熱いものを感じ、涙することなしは見られません。腐りきった政治で、多くの国民が苦しいなか懸命に生きていました。そんな中、彼女に自分の姿を重ね、明日を戦う勇気や希望を与えたに違いありません。
テレビ放送や新聞などのメディアも、称賛一色となり、「感動」ばかりを伝えようとしました。もちろん、批判の声もありましたが、ほとんど報道されることはありませんでした。報道も全てスポーツの良い面ばかりを押し出し、選手たちをヒーローとして取り上げ、感動を前面に押し出していました。怪我の問題点に関して深く国民に問いかけようとしなかったのです。この時代、メディアは政府の都合の良い発信源となり、国民洗脳の手段の一つとされていました。
この世界が本当に不正がなく、美しく澄みきっていれば、ただ「感動」するだけで他の感情を抱かないかもしれません。しかし、政治が医療と結びつき、スポーツを利用して医療を儲けさせようとしていることに気づいている国民も少なくありませんでした。これほどまでに政治が酷い状態では、ただ「感動」している訳にはいかなかったのです。
「どのような過酷な練習メニューをさせていたのか?」
「スポーツにそこまで求める必要があるのか?」
「怪我をした選手の将来は本当に明るいものなのか?国が最後まで面倒を見るのか?」
「これを見て感動した人達もまた、選手に憧れ、自分が怪我をしてでも懸命にトレーニングに励むのではないか?この話が美談となれば結果として、陸上界全体の怪我を増やすことになるのではないか?政治や報道はそれが狙いなのでは?」
政治を知れば知るほど、このような様々な感情を抱く人たちも当然います。また、医療費の7割を国が負担するため、スポーツで怪我をした人たちを国民の税金で賄っている仕組みを取っていたのです。怪我が増えれば、強制的に国民が負担させられるように出来ていたのです。政治が腐りきっているために、一部の人々はスポーツを観戦して心からの感動することさえも出来なくなっていました。感動と同時にスポーツを利用して国民に怪我をさせて、儲けを得ている一部の汚い政治家や医療の仕組みを利用して既得権益を得ている人々の姿がちらつくのでした。汚い政治は、必死に戦っているスポーツマンだけでなく真面目に患者さんと向かい合っている医療関係者に対しての冒涜です。
ここで、最もけがが発生しやすいスポーツ「ラグビー」の話をしましょう。もし、政府が国民に怪我を負わせて、医療を儲けさせようとしているのだったら、ラグビーの普及は長年の悲願だったに違いありません。公益財団法人スポーツ安全協会が平成29年度に発行している「スポーツ外傷・障害予防ガイドブック」によると、ラグビーが最も盛んとなる大学生(19~22歳)の発生率を比較すると、スポーツ全体の外傷発生率が3.4%、最も人気のあるスポーツの一つであるサッカーは4.8%、野球は3.8%、バスケットボールで6.3%でした。それに対して、ラグビーは22.3%で、スポーツ全体の6.6倍の外傷発生率でした。
渡辺一郎氏が書いた「ラグビー競技における重傷事故の傾向と防止策」Ⅰ.学校でのラグビー事故の実態では、“H10~H28の合計19年で、突然死が460名、脊髄損傷が115名、頭部外傷が104名”となっていました。この他に多い重症事故として日本ラグビー協会は内臓日本ではラグビーは決して競技人口が多くありません。それにも学校だけで、このような結果が出ていました。脊髄損傷では下半身麻痺などを起こすリスクがありますし、脳震盪では、再度繰り返すとセカンドインパクト症候群と言って致死率が50%を超すと言われています。ここまで、重症事故を引き起こすスポーツは格闘技を除けば他にはないでしょう。
インターネットで得られた情報はこれくらいでした。政府やラグビー協会は詳しい情報を公開していなかったのです。ラグビーが最も盛んとなる大学生(19~22歳)では6.6倍という、とんでもない怪我の発生率の上、けがの重症事故まで引き起こしていたのです。国民の人達は本当にこれを分かっていて、ラグビーをやろうとしていたのでしょうか・・・。
このような重大な問題を大きく取り上げないまま、選手たちをヒーローに仕立て上げて、テレビ広告や雑誌、あらゆる媒体を使って国を挙げて徹底的に宣伝を行ったのです。これが、本当に政府の行うべき政策なのでしょうか?
ラグビーは2015年のワールドカップで南アフリカを倒したことで、メディアが大々的にそれを取り上げて、徐々に人気が国民に広がっていきました。さらに、2019年には日本がラグビーワールドカップの開催国となったため、ここぞとばかりに、様々なメディアを通してラグビー人気を作ろうとしました。これはオリンピックに匹敵するほど異常なレベルでメディアが取り上げていたのです。バラエティー番組でもニュースでも、ラグビーとコラボを行い、テレビCMでは多くの企業がラグビーの応援を行いました。メディアが政府の圧力を受けて意のままに操られていることはよく言われていますが、民間企業もまた、天下りによって政府関係者が大手企業の重役に就き、政府の支配を受けていました。さらに、民間企業にとって国家予算300兆円をばら撒く政府に逆らえない事情もあったのです。民間企業のCMがラグビーだらけになることは当然でした。
民間企業だけではありませんでした。日本で最も人気のある作家をも巻き込んだのです。池井戸潤先生は『下町ロケット』や『陸王』、『半沢直樹』など素晴らしい芸術作品を生み続けた日本の頂点ともいえる作家です。2019年の日本で開かれるラグビーワールドカップを盛り上げるために池井戸潤先生の作品の力もまた、借りようとしたと考えられます。作品の名前は『ノーサイドゲーム』と言います。誰もが心に熱いものを感じ、感動し、勇気を貰えるはずです。だからこそ、国民自身の力で政治を変えなければならない時代になったからこそ、違った見方が出来るようにならなくてはなりません。政治をより良い方向に変えるためにも政治とスポーツの視点からこの作品を捉えてみましょう。あくまでもフィクションであり、その考察として考えて下さい。
まず一つ目の問題が、年間16億円もかかる予算です。「トキワ自動車のラグビーチームであるアストロズにかかる予算が年間16億円。さらにラグビーはプロスポーツではなく、アマチュアのスポーツで利益の追求をするべきではないという方針で、ほとんど利益がない。島本社長の一存で何とかラグビーチームを維持し続けている」と言うところです。
プラチナリーグは社会人のトップリーグであり、約15年前に発足しています。つまりは、16億円の予算を15年間費やしてきたのです。ほとんど利益が出ないにもかかわらず、240億円もの予算を果たして、大企業の経営を任されているビジネスのプロが自分のラグビーに対する思いだけでこの予算を通すでしょうか?また、社長の一存だとしても、取締役会で承認されるとは到底思えません。裏が何もなければですが・・・。
このようなラグビーチームを持てるのはこれらの予算を払うだけの体力のある大企業に限られるはずです。それも、政府から天下り先として選ばれるような、最大手の企業です。おそらく、島本社長は何らかのリターンを貰っていたのではないかと推測されます。個人的な利益ではないとしても、会社に対してラグビーチームを保有する以上のリターンがあったからこそ、ラグビーチームを引き受けた可能性があるのです。政府がラグビーを世の中に広めようとしているのなら、それくらいのことを民間企業にさせることは容易いでしょう。そして、島本社長もまた、政府相手に逆らうことなど出来ないのです。
しかも、たまたま島本社長の熱い思いでアストロズだけが存続出来たという話ではなく、プラチナリーグ16チームあり、どのチームもまた同様の課題を抱えていたというのです。怪我のリスク、人気度、予算、会社への貢献度、どれをとっても何か裏がない事にはリーグそのものの存続自体が到底考えられません。
二つ目の問題は「日本蹴球協会がチケット代などの収益をすべて牛耳り、ラグビー業界全体の古い体質を変えようとしなかった」ことです。ただでさえ少ない収益を協会側が全て受け取っていて、16億円もの費用のほとんどを会社側が賄わなければならないことに繋がっていたのです。ますます、プラチナリーグ16チームが15年もの間、存続してきたことに対してより疑問が深まります。また、蹴球協会は「ラグビーは貴族の神聖なスポーツであり、金儲けの道具ではない・・・」として、興行を成り立たせる仕組みを考えてこなかったとされています。そして、その理由は日本蹴球協会会長である富永重信氏の御意向によるものなのです。富永会長は与党の政治家、野本広大と繋がっていました。そのことを日本蹴球協会の人々は知っていたため、誰も富永会長に逆らえなかったのです。ところが、最後には専務理事の木戸祥助氏のクーデターによって、富永会長は解任にさせられることになるのです。
これと重なる出来事が実際の日本ラグビー界で起こっていました。2005年から2015年まで大物政治家である元内閣総理大臣の森喜朗氏が日本ラグビー協会の会長を、その後2019年4月まで名誉会長の座に君臨していました。その後は改革が起こり、元ラグビー選手である森重隆氏が会長職を元ラグビー選手である清宮克幸氏が務めることになったのです。
三つ目の問題は「ハカ」の問題です。ハカとはニュージーランドの民族舞踊で、元はマオリ族の戦士が戦いの前に手を叩き、足を踏み鳴らして自らの力を誇示し、相手を威嚇する舞踊でした。トキワ自動車の島本社長は君島隼人に語りかけます。
「君はハカを知っているか?」
「私は死ぬ。私は死ぬ。私は生きる。私は生きる。見よ、この勇気ある者を。ここにいる男たちが再び太陽を輝かせる。一歩上へ、さらにもう一歩上へ。輝く太陽の中へ。」
「確かにラグビーは危険なスポーツかもな。もしかしたら、死ぬかもしれない。それでも、自分たちを応援してくれる仲間がいる。」・・・。
このハカのシーンは、政治的に見ると、まるで命を犠牲にして国を守る特攻隊のような勇敢な戦士を作るための教育のようでした。もしかしたら、死ぬかもしれない・・・。スポーツにここまで求めるべきなのか理解を超えるものでした。しかし、命を懸けてぶつかり合うからこその感動も心に響くことも確かなのです。
このシーンは『ノーサイドゲーム』の原作には描かれていないもので、テレビ局側が追加したものだと考えらえます。池井戸先生は政治的な問題をセットにしなければ、ただの洗脳教育になってしまうことを分かっていて、あえて書かなかったのかもしれません。この作品は全国放送され、さらに、ラグビーブームもあり、全国の小学校や中学校、高校校の行事などで教育者が生徒たちにハカを躍らせていたのです。これは何が狙いなのでしょうか・・・。考えるだけで恐ろしくなります。
池井戸先生は必ず、この現代社会の問題点をよりリアルに描きだし、この世界を良くするためのヒントを作品の中に残しておいてくれます。特に「銀行」と「政治」の問題について意識して見なければなりません。先生の作品は感動するのは当たり前で、さらにその向こう側、先生が本当に伝えたい部分も読み取ることが重要です。だからこそ、現在でも、政治や法律しか放送をすることが出来ない全国放送で、政治やスポーツの良い点や悪い点を学ぶために定期的に流れています。それも全国放送が禁止された世界でもなお、日本だけではなく、世界中で放送されているのです。世界最高の文豪として文学史に名前を刻みました。先生の作品はただの芸術作品ではなく、世界の政治やスポーツに大きな影響力をもたらし、世界を良い方向へと導く書物だと評価されたからです。
もう一度、旧日本政府が、スポーツを一部の人間が不正な利益を生むために利用したのではないか考えてみてください。
たった27年間で医療費は約22兆円から42兆円に増え約倍となりました。政府は医療との繋がりを持ったうえで、徹底的に贔屓をしています。実質的に使っている国家予算約80兆円の内、約40兆円が医療費。国が医療費の70%を負担。医学部が最高学歴。学校で強制的にスポーツをさせられる。全国放送でスポーツニュースが毎日流れヒーローに仕立て上げる。オリンピックは国を挙げて応援するように国民に訴えかけている。
このような社会を政治が作ったうえで、「毎年、スポーツで約20万人のけが人が出ていた」のです。
一部の人間が儲かるためにスポーツが利用されていたのだとしたら、あまりにも侮辱的な事です。毎年20万人にも上るけが人の中には、一生涯、元の生活が出来なくなるような怪我を負った人たちもいるのです。スポーツを愛している人たちは本当にこのような世界を望んでいたのでしょうか?学校教育とテレビによる洗脳教育によって、社会全体の問題が見えなくなり本当に大切なことを考える力を養うことが出来なかったのです。
新世界ノアではスポーツ業界全体が大きく変わりました。国家予算の半分を医療費に使うと言った馬鹿げた政治に、スポーツのけがが利用されている現状を許せなかったのは誰よりもスポーツを心から愛している人たちでした。少なくとも政治が原因でそのように思う国民がいる以上、変えなければいけないと考えたのです。医療保険を払って全国民が負担していました。国家予算の半分を医療が使っている現状で、スポーツを盛り上げて国民に更なる負担を押し付けることは避けなければなりませんでした。
これらの事からも、「スポーツは政治による影響を受けるべきではない」と言うのは、理解できるかと思います。特に医療と繋がりお金儲けをしている政治ではなおさらのことです。それだけではなく、「民間企業のスポンサーにもなるべきではない」ということも理解しなければなりません。
まず、一つ目の理由として、天下りによって支配されている民間企業によるスポンサーの力を借りれば、結局は政治家の思い通りになってしまいます。政治の世界では根回しなど当たり前なのです。政治が直接スポーツに干渉出来なくなれば、民間企業を使って同じことをすればいいのです。
さらに、二つ目の理由は、広告による影響で認知度が向上し、大手が有利になることです。スポーツによって企業の認知度を上げて売ることはただの奪い合いであり、商品の良さを何も伝えていません。このような不公平な広告によって、中小企業の成功を奪うことは決してこの世の中にとって良いことではありません。お金に物を言わせて、大手だけが儲けてはならないのです。特定の企業を応援し、格差社会を手助けするようなことはスポーツにとってもフェア精神に反することです。また、巨額な資本によってスポーツマンがスポンサーに支えられていれば、「スポンサーの意向に逆らえない」と言ったことも起こってしまいます。これでは本当に正しいスポーツは実現できません。どんなに自分の国が悪くなろうとも、政治的な発言は出来ないと言った問題も起こりえます。政治的な発言とは自分たちの国をどうすればもっと良い国に出来るかを考えて、それを国民のみんなに提案することです。決して、悪いことではなく最も重要な事のはずであるのに、影響力のある人々は巨大な権力に屈して、ほとんどの人達は口を閉ざしたのです。その結果、影響力のある立場にも関わらず自分の利益だけを優先するようになってしまいます。
だからこそ、「政治の影響を受けない」「民間企業のスポンサーの力も借りない」つまりは、「スポーツは何者からの支援を受けずに、独立して運用が出来る」と言うことを前提条件に、仕組みが考えられました。そのためには、スポーツがエンターテイメントとして国民が求めるものを追求し、自立して稼ぐことが重要でした。
まず第一に、行われなければならなかったことはスポーツ界から権力者を排除することでした。政治家との繋がりはもちろん、スポーツ協会が大きな権力を握り、スポーツマンたちに大きな影響力を与えてしまっては、表舞台に出てこない人々の意志が反映されてしまいます。国民にはそれが分からないのです。また、スポーツマンが稼いだ資金が協会に流れ、権力者たちの資金源となってしまいます。これでは、実際に身体を張って頑張っているスポーツマンの利益は大きく減らされてしまい、大きな権力が支配していては国民に正しいことを伝えることが出来ません。そこで、権力の巣窟となっていた各スポーツ協会を廃止し、スポーツ基金を設立しました。スポーツ基金はただの口座であって、実際に汗を流している全てのプロスポーツマンが投票をすることによって、スポーツ協会と同様の運営を実現しています。スポーツ協会が管理するのではなく、各競技のプロスポーツマンたちが民間企業に資金を出してスポーツ協会が行っていた重要な事をやってもらっているのです。これによって、スポーツによってプロスポーツマンたちが稼いだ資金が自分たちの給料として最大化され、さらに権力によって支配されない仕組みを作ったのです。
各競技にスポーツ基金が創設され、そこからプロスポーツ選手たちへ直接、給料が支払われたり、競技場やトレーニング設備を借りる資金が直接、支払われたりします。政治や民間企業の支援無しに、これらの資金を稼ぐことこそ、スポーツ業界が自立して存続していくために最も重要な要素となります。
これらスポーツ基金を支える資金源は大きく分けて6つです。
一つ目の資金源となるのは「スポーツの有料化」です。新世界では、生活に必要な物を全て国が保障する代わりに遊びだけでなく、スポーツも有料化されています。「所有の禁止」により、道具を使うスポーツは隠れてする事も出来ません。国民が施設を使ってスポーツをした場合は、1時間500ベリー以上の料金がかかります。そのお金は各競技の基金へ全て集められる様になっています。ですので、観客を集めなくても、国民がスポーツをすればするほど、スポーツ基金へ多くの資金が集まるのです。この収益はスポーツ業界が自立して存続する上でかなり大きな割合を占めています。日本国民全員が月に1時間スポーツをしただけで、650億ベリーの資金を集めることが出来るのです。もちろん、月に1時間しかスポーツをしないというのはありえません。このスポーツの有料化だけでも、全てのスポーツを合わせて年間10兆ベリー規模の収益化に成功しています。
二つ目の資金源となるのは、「プロスポーツ選手によるクラブチームの運営」です。スポーツを広める数少ない手段の一つです。プロスポーツ選手が直接教えることもありますが、二軍や三軍の選手、また、チーム以外の専門家を雇うこともあります。学校教育で素人が教えるのでは無く、プロの指導者による質の高い練習やトレーニング、試合などを安全に行うことが出来ます。素人の指導者の上、部活の練習などを生徒たちに任せたり、部活動内でのいじめなども防ぐことが出来ます。
また、クラブチームには「楽しむ」ことを目的にしたものと、「プロを目指す」ことを目的にしたものの2種類があります。政治は怪我をさせることが目的だったために、本気で打ち込むスポーツばかりが主流になっていましたが、今ではスポーツは「楽しむ」ものとして参加する人たちが多くいます。
「楽しむ」ことを目的としたチームだけが出場できる大会と「プロを目指す」ことを目的としたチームだけが出場できる大会が存在しています。どちらも、上位ランキングに入ることが出来れば賞金が貰えるため大いに盛り上がるのです。また、義務教育が無くなったために、スポーツをしようとする子供たちが急増し、旧時代よりもスポーツは盛んになっています。
三つ目の資金源となるのは、「スポーツ保険」です。スポーツをする際には必ず、スポーツ保険料も同時に払うことになります。法律で1時間500ベリー以上の料金を取らなければならないと定められていますが、この中に保険料も含まれているのです。一般的に、人気が低く怪我をしやすいスポーツほど、保険料が高くなるため、遊ぶ際やクラブチームでの練習やトレーニングが高くなる傾向にあります。
また、新世界ノアではホテルや食事など最高の生活が保障されている代わりに、医療費は100%国民負担となっています。病気や怪我を負わないように自分自身で自己管理しなければなりません。しかし、スポーツでの怪我はスポーツ保険が医療費の7割を負担してくれるようになっています。また、今後、生活に支障が出るような大けがをした場合は、生涯にかけてその怪我に対する医療費を100%保障するだけでなく、それに加えて生涯の程度に合わせて、慰謝料を上乗せして支払ってくれます。このスポーツ保険は医療機関でどんなスポーツで怪我をしたのか申告しなければ保険金が出ない仕組みになっているため、けがをした人が隠すことなく各スポーツでのけがの正確なデータを集めることが出来ます。スポーツをする際には、どんな怪我がどれだけ怪我が多いのか最新のデータを確認しなければならないようになっています。
けがの多いスポーツはプロスポーツ選手の給料が減るため、スポーツ業界が主導して怪我をしないルール作りや練習方法など日々改善が加えられているのです。全ての国民が心の底から感動をさせるためには、年間20万人というけが人を減らすことなしには考えられませんでした。保険料が100%国民負担となり、さらにスポーツ基金が医療費の70%を負担することによって、「スポーツによって国民に怪我を負わせ、医療業界が儲けている」と言われることは一切なくなったのです。
四つ目の資金源となるのは、「チケット販売」です。新世界では地球環境への負担減らすため印刷が禁止されています。そのため、チケットは国が提供しているWEBシステムから購入しなければなりません。紙媒体のチケットは作成できず、スマホで全て管理しています。
また、全てのスタジアムは座席が少なくなっており、建物自体が小さくなっています。これもまた、地球環境の負担を軽減するために人々の移動を減らす取り組みが行われています。その代わり、スタジアムには高度な撮影装置がたくさん設置されており、現地に行かなくても全てのエデンで3D映像による大迫力のスポーツ観戦が出来るようになっています。あらゆる場所、角度からの映像を見ることが出来、現地に足を運び遠くから観戦するよりも、遥かに迫力があります。しかも、映像のため観客は怪我をすることなく安全に感染することが出来ます。
基本的にグッズの販売は禁止されています。大量生産し地球環境に負担をかける事はできるだけ避けなければいけないからです。ただし、応援に使うユニフォームやグッズに関しては、その施設内のみでレンタルすることができます。チケット代に含まれ、無料で配布しているスポーツもあります。所有の禁止があるため、持ち帰る事は出来ません。施設から出る際は3Dスキャンによって持ち物検査が行われますし、ホテルやアークでもスマホ以外の持ち物を持ち込まないよう、厳重に取り締まられています。
五つ目の資金源となるのは、「有料チャンネルとスポーツ新聞」です。無料で遊べるものは全て禁止されているため、動画なども全てが有料化されています。以前は、毎日のようにスポーツ情報がニュースで流れ、無理にスポーツを盛んにさせていましたが、今ではスポーツの情報を得るためにはスポーツ新聞などを購読しなければなりません。そのため、スポーツが好きな人たちは、スポーツ新聞の購読をしています。月額料金を払えば見放題ではなく、記事ごとに料金を支払わなければなりません。また、動画も同様に月額料金ではなく、1時間あたり最低500ベリー以上の視聴料を取らなければならないと法律で決められています。
無料での全国放送によって見ていたスポーツは全て有料になるのです。スポーツをすることだけでスポーツ基金には10兆円規模の収益がありますが、テレビのスポーツ観戦だけでも10兆円以上の興行収益になるのです。また、広告の禁止により、スポーツを広められる選択肢が少なくなったため、スポーツ選手はドラマ出演も積極的に行っています。ドラマ撮影においても素人が行うよりも、プロのスポーツマンが実際に撮影されることでよりリアルで迫力のあるドラマになっています。スポーツはドラマにおいても他のエンターテイメントにはない感動や興奮、勇気を与えることが出来ます。
政治を変えることで政府や大手民間企業に依存しなくても、スポーツは十分に自立して収益を出すことが出来ます。それどころか、収入が多すぎて、プロスポーツ選手が増えすぎないように国民投票によって移動税が高く設定されています。また、全国放送でスポーツを流し、選手をヒーローにして、無理やりスポーツを盛んにする必要もありません。全国放送で毎日ヒーローとして取り上げなくても、スポーツ選手は十分すぎるほど魅力的です。政府がスポーツの全国放送を利用して、国民の政治への興味を避ける役割といった、汚い政府の計画にも加担しなくても良くなります。完全に独立することによって、政治やスポンサーの圧力を受けることもなく、スポーツ選手の意志で、国民にとって最も良いと考えるスポーツ業界へ変えていけるのです。
今度はスポーツにとって大切なフェア精神についても考えてみましょう。
スポーツは試合以外ではフェア精神などかけらもありませんでした。収入を得ることに対しても、本当に不公平でした。スポーツ業界が毎日ニュースで取り上げられ、ヒーロー扱いされていたことは、自営業をしている人たちからすれば、ありえないことです。その上、義務教育でスポーツが盛んになるように広め、大手企業がスポンサーとして支援してくれていたのです。普通の自営業ならどれだけ、経営が下手でも成功できてしまいます。過去の政治において、スポーツはそれだけ優遇された立場にあったのです。
それだけの支援を受けながらも、一部の人は数億円もの年俸を貰い、またその一方で二軍や三軍では生活を続けていくことが困難なくらいの収入しか得ることが出来ませんでした。最悪の場合、けがをしてスポーツを続けることが出来なければ、民間企業で活躍できるような知識や技術をもたされることもなく、社会へ放りだされていました。この差はあまりにも酷く、公平な社会だとは到底言えるものではありませんでした。
旧時代ではスポンサー契約や会社直属のスポーツクラブだったため、チームに支払われる予算はバラバラでした。そのため、チームによってトレーニング設備や監督、コーチ、選手の獲得など資金の面で不公平な現実がありました。フェア精神を重んじるスポーツとして、あるまじき仕組みだったのです。スポーツ基金から各チームに支払われる予算は統一されています。
給料面でも、旧時代のようなあまりに大きすぎる格差はありません。給料の分配は、チーム内のランキングとリーグのランキングによって変わります。あくまでも年俸の一例として、
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チーム1位 |
2位 |
3位 |
4位 |
5位 |
6位 |
7位 |
8位 |
9位 |
リーグ優勝 |
1億円 |
8000万円 |
7000万円 |
6500万円 |
6000万円 |
5500万円 |
5000万円 |
4500万円 |
4000万円 |
2位 |
9000万円 |
7000万円 |
6000万円 |
5500万円 |
5000万円 |
4500万円 |
4000万円 |
3500万円 |
3000万円 |
3位 |
8000万円 |
6000万円 |
5000万円 |
4500万円 |
4000万円 |
3500万円 |
3000万円 |
2500万円 |
2000万円 |
4位 |
7000万円 |
5000万円 |
4000万円 |
3500万円 |
3000万円 |
2500万円 |
2000万円 |
1700万円 |
1500万円 |
5位 |
6000万円 |
4000万円 |
3000万円 |
2500万円 |
2000万円 |
1700万円 |
1500万円 |
1300万円 |
1000万円 |
2軍は一律500万円、3軍は一律300万円。給料はこのような分配が行われますが、スポーツ基金に集められた資金からスポーツ保険で支払う医療費、使用した会場、設備費などを差し引いた金額になるため、スポーツの種類によって給料は大きく異なります。また、給料体系もプロスポーツ選手全員の投票によって決まるため、定まっていません。リーグで競争によって白熱した戦いになり、かつ強いチームに優秀な選手が集中しないなどのバランスが取れるように話し合われています。
新世界では、プロスポーツ全ての選手たちが幸せな生活を送れるよう、スポーツ基金から分配されます。優勝チームと最下位チームでは収入に大きな差が生まれますし、一軍の選手と二軍や三軍の選手では収入に大きな差はあります。しかし、新世界では、仕事で収入が無くても最高レベルの生活保障があるため、本当にスポーツが好きであれば、スポーツを仕事にした人生を続けることが出来ます。
日本だけでスポーツ業界全体は25兆円産業となり、一般の仕事よりも給料が高くなってしまいます。給料面だけではなく、スポーツが好きな人や憧れを持つ人たちも多くいます。プロスポーツ選手が多くなりすぎるとエデンの建築やホテルの運営、レストランの経営、食の質の低下など様々な問題が出て来てしまいます。過去の時代では、プロスポーツ選手やYouTuberなどが夢のような収入を得ることが出来るとして、人気になり過ぎて、本当に重要な仕事をしたいと思う人たちが少なくなっていました。建設業界や漁業、農業などは次の世代に引き継ぐことも難しくなり、高齢化していました。一部の若い人たちは好きなことをして働き、社会は年配の人達の働きによって支えられていたのです。
新世界でも同じような問題が起こらないように特定の職業には「移動税」を増税することで、収入が増えすぎないようにバランスがとられています。これは、理想的な世界を維持するために本当に必要な仕事を行い、人々が望む世界が作られるよう、国民で監視できる仕組みになっているのです。収入が増えすぎた場合にはスポーツ基金から各選手への給料が支払われる「お金の移動」に対して、増税が行われます。これは、全て国民の判断に委ねられています。これによって、スポーツ選手たちは、少しでも国民と一緒に理想社会を支えるために、週に1~2日エデンの建築やホテル、飲食店を手伝ったりしています。また、積極的に政治に参加して、正しい社会が維持できるよう影響力を国民のために使っています。そんな活動もあり、新世界でもまた「憧れの職業」の一つとしてあり続けています。
「スポーツは全てにおいてフェアであるべきです」
スポーツが政治と関わらず、企業の広告のためだけでなく、ただ純粋に勝利のために戦う。そんな姿こそ一点の曇りもない本当の感動を伝えることが出来るのです。そして、この世の中に戦争や紛争などの争いが無ければ、ハカもまた、ただただ、素晴らしいものであったはずです。けが人が大量に出て、医療ばかり儲かり、戦争をしている国がある中で「私は、死ぬ。私は、死ぬ。・・・」命を懸けて突進していくことなど、全国放送で流すような政治は異常です。さらには、それを学校教育で小学生や中学生、高校生にさせている学校があったのです。国民は義務教育とテレビなどのメディアに常に洗脳され、違和感や危機感を感じることが出来ず麻痺しまっているのです。こんな事では、政府のいいように戦争のための準備に必要な教育も徐々に行われていたでしょう。
オリンピックはスポーツを盛んにすることによって、さらに国民の怪我を増やす役割がありました。地球は温暖化の影響により、毎年のように異常な豪雨が日本を襲い、全国各地に大きな被害をもたらしていました。特に自然災害で被害が大きかったのは東日本大震災でした。旧日本政府は予算をあまり割かず、復興が進むどころか毎年の自然災害に耐えられず、二次災害、三次災害と続き、被災者の人達は苦しみ続けていました。
全国各地でこのように苦しんでいる人達を知りながら、被害地よりも立派なオリンピック会場が出来上がり、その周辺もまた、経済効果の恩恵を受けるために開発が進みました。「人助けよりも金儲け」という醜い社会も、テレビ放送のニュースやCMで良いイメージを流し続けて国民を洗脳させ、オリンピックを成功させようとしていました。東京オリンピックの予算は1兆3500億としており、これを全て、エデン開発によって復興にあてられたのなら、贅沢なホテルだけを作っても2万人以上の人々の居住スペースを作ることが出来たのです。東日本大震災の全国に散らばる避難者は4万7737人と言われていたため、このオリンピックに充てられた予算だけでも約半分の人達を救うことが出来たのです。それも、新世界なら土地を奪い合わないため、日本の領土の中でも自然災害の被害に遭わない安全な土地にエデンが作られます。この1兆3500億という巨額の予算のほとんどは大会が終わるとスポーツやエンターテイメントのために使われ、国民から搾取するための施設へと変わるだけです。国民は洗脳教育によって、このような支配が当たり前になり、何が正しいのかを判断することが出来ず、違和感を感じられなくなっていたのです。
国が真剣に被災地と向き合い、人々を助けようとすればいくらでも助けることは出来たのです。確かに、人助けよりも経済活動にお金を投資した方がお金儲けになるでしょう。しかし、そういった考えの政治家はこの世に存在するべきではありません。けが人が増え続けて、医療費が27年で22兆円から42兆円に倍増し「なぜ、そこまで熱くなりオリンピックを盛り上げようとするのか?」「その熱い思いをなぜ、全て苦しんでいる国民のために使うことが出来ないのか?」政治家たちには一般国民が持っている常識的な感覚も持ち合わせていません。いかにスポーツが汚いお金儲けに利用されていたのか、理解できるはずです。
最後に医療費42兆円という国家予算を国民の生活を助けるために使えたら、どんな事ができるのか考えてみましょう。
新世界ノアが行っている政策で最も重視している生活の保障と言えば「ホテル」「レストラン」です。つまり「住」と「食」です。
「住」であれば、10兆円規模のエデンを4つ作ることが出来ます。1つのエデンで20万人の人が居住できますので、毎年80万人の国民が贅沢なホテルに住めるようになっていきます。賃貸や家を買う必要がないと言うのは国民にとって大きな負担を軽減できるはずです。医療費を国が負担せず、それをエデン開発に充てるだけで160年程度で、全国民が最高レベルのホテルに住めるようになるのです。その後は、仕事から解放されて、ゆっくりと人間らしい人生を歩むことが出来るようになります。
では、「食」ではどうでしょうか?食費に使える電子マネーを国民一人が毎月2万7000円分受け取ることが出来ます。1日に直すと900円で、1食あたり300円の補助が出来る計算になります。医療費を国が負担せず、それを食費に充てることが出来れば、家族4人なら毎月10万8000円もの補助を貰うことが出来るのです。どれだけ生活が楽になるでしょうか?
たった医療費だけを無くし、国民生活のために使っただけでこれほどの事が出来るのです。
これだけ国から補助が出るのであれば、医療費が100%国民負担でも良いと思うはずです。普段から健康に気を遣って、健康的にスポーツをし、食生活を改善し、規則正しい生活を送ればどんなにこの国は良くなるでしょうか?
医療は確かに国民が病気やけがをしたときに助けてくれます。しかし、それ以上に国民を苦しめていたのです。政府主導のもと、病気やけが人を増やし、医療を儲けさせ一部の人間ばかりが利益を得ていました。医療を儲けさせるためにスポーツもまた利用されていたのです。医療が変わるだけで、これほど国民を助けることが出来るのなら、政治全体が変われば、どれだけ国民を助けられるのか想像するだけで希望が湧いてくるのではないでしょうか?
政府は医療を儲けさせるためだけにスポーツを利用したのではありません。
スポーツを盛んにすることによって、人々が夢中になり政治を学ぶ機会を奪います。また、本格的にスポーツをする人は幼いころから時間とお金を奪うことが出来、徹底的に政府に反抗する力を奪うことが出来たのです。旧時代のスポーツの頂点を目指そうとする人は、政治など難しいこと(難しいイメージを付けられていた)を学ぼうとする人達が極端に少ないことも問題でした。世界のスーパースターや国のトップ選手の人達は影響力があるのにもかかわらず、政治的な発言は一切しませんでした。自分のお金儲けとファンを喜ばせるため、また、自分のやっているスポーツを広めるために政府がやっていることと同じ運動をしていました。まさに、政府にとって都合の良い存在だったのです。本当に政治を学び、この世界を変えるための知識があったのなら、国民に問いかけていたかもしれません。
旧時代、スポーツがここまで盛んになったのは、スポーツを長年やっていた人や結果を残した人を学校や企業が優遇したためです。スポーツ推薦で学歴を手に入れ、学歴で企業が就職を有利にしたのです。この学歴社会と言う差別をやめさせなければ、義務教育だけではなくスポーツまで必要以上に行う人達が出て来てしまうのです。新世界では「学歴社会」も「スポーツ」も就職で有利にならないよう法律で定められています。就職するためにそのような不公平な条件があってはなりません。誰もが平等に仕事に就ける機会を持てるべきなのです。
このようにして、国民を教育し、一つ一つ過去の悪い政治を学び、より良い世界を作るにはどうすればいいのかを考えることがいかに重要なことか分かるはずです。新世界になり、直接民主制によって人々の理想社会が作られていますが、このような悪質な政治があったからこそ、国民は変えようと力を合わせたのです。警察が政府に支配され、暴力団が各地に存在していたため声をあげることですらも、命を懸けなければなりませんでした。そのような、暗い過去を先人たちの勇気によって今の理想社会があることを忘れてはいけません。