#15.第1章(第一節)スポーツ界が芸能界に続く。スポーツ界の政府、民間企業からの独立運動

日本のノア革命初期⑯スポーツ界が芸能界に続く。スポーツ界の政府、民間企業からの独立運動

2021年3月31日、「スポーツ界に新たな独立運動のリーダー誕生。スポーツ界の独立を求める声が広がる。」

新世界ノアを支持しようという運動は芸能界だけにとどまらなかった。当然、それはアスリートたちへ波及することとなった。

 最も大きな影響を与えていたのが、日本フィギュアスケート界のプリンス、羽生天馬くんだった。(とことん見た目重視で申し訳ない)彼はYouTubeで新世界の実現を望むこと、そして、スポーツ界の変革を求めると表明した。

 

「こんにちは、羽生天馬です。山神賢人さん、花沢旬さん、日本のために勇気ある行動、心から尊敬します。その想いに僕やアスリートの仲間も続きます。大好きな日本のために自分自身が信じる正しいと思うことを声にしたいと思います。

 

 僕らアスリートも芸能界と同じで企業広告に収入を依存しているため、もちろん企業にとって不利な発言は出来ません。その上、新世界ノアが訴えているように天下りによって官僚が民間企業へ入っているため、契約している企業から政府批判をすることは控えるように言われています。もちろん、このように直接的な言い方ではありませんが、ブランドイメージを損なわないように政府批判をすることはタブーとなっています。それどころか、僕らアスリートの影響力はオリンピックを盛り上げたり、スポーツを広めることに利用され、政府のいいように使われているのではないかと感じています。

 

 僕は山神賢人さん、花沢旬さんと同じように、アスリートとしての影響力を全ての人達が幸せに生きていける日本に変えていけるように、自由に発言できるスポーツ界を作りたいと思っています。政府批判をすることがブランドイメージを損ねるという考えが、アスリートの僕たちに自由な発言を奪っています。これは絶対にあってはならないことであると僕は考えます。この国のために正しいと思うことを話せないなんて誰がどう考えてもおかしいではありませんか。

 

 新世界ノアの影響で、多くのファンの方々から僕宛てにたくさんの手紙をいただきました。ノアの本や手紙を読むことでスポーツ界には芸能界にはない大きな問題を抱えていることが分かりました。それは、「医療」との問題です。

 

 政府は医療に対して徹底的に優遇しています。医者はある種の既得権益だという人もいます。毎年、医療費に42兆円もの国家予算(一般会計、国債を除く)の半分を割いていること。医学部が超高学歴で学費が異常に高いことからも、政府が医療を特別扱いしている事は間違いないと思います。その上で、スポーツでは年間20万人のけが人が出ているほど医療に貢献してしまっているのが現実です。そのため、スポーツを盛り上げ、けが人が増え医療が儲かる仕組みになっているのです。

 

 僕は国民に感動や勇気を与え、楽しんでもらうために人生を捧げてきました。スポーツ界が盛り上がることでけが人が増え、医療を儲けさせているのではないかと思う人達が世の中にいることが残念でなりません。僕はスポーツを愛している人間として今のこの現状を見過ごすことが出来ません。

 

 この現状を変えるために、スポーツ界も芸能界と同様に政治と民間企業からの独立を宣言します。

 

 そのためにはスポーツ界は政府や民間企業に依存せずに、独立して収益が確保できる仕組みが必要になります。みなさんは、新世界ノアの世界をご存知でしょうか?新世界では無料でスポーツが出来ません。ランニングやストレッチなら出来るかもしれませんが、所有を禁止されているため、道具を使うようなスポーツは完全に有料になります。新世界ではスポーツ基金があり、国民がスポーツをすればするほど、スポーツ基金に資金が集められ、競技人口が多いスポーツほど、プロアスリートへ多くの給料が分配される仕組みになっています。

 また、このスポーツ基金は保険も兼ねていて、スポーツによる怪我の場合は全てこのスポーツ基金から医療費を支払うことになります。怪我の多いスポーツは保険にお金がかかるため、プロアスリートへの給料も減る仕組みになります。

 

 これなら、国民にけがをさせて医療を儲けさせるという考えは生まれないはずです。怪我が増えると、そのスポーツに関わるプロ選手やスポーツ関連施設の収益が減ってしまうからです。現場の人達は、けがを減らそうと努力するはずです。

 

 また、スポーツが完全有料化することで、どのくらいの興行収入が見込まれるのかというと、ノアの試算では1時間500円とした場合、国民全員が1時間スポーツをしただけで650億円を集めることが出来るそうです。月に10時間スポーツをしたとすると6500億円。これを年間に直すと、7兆8000億円もの興行収入となるのです。おそらく、10兆円は軽く超えるのではと言われています。しかも、これは国民のみんながただスポーツをするだけで集められる収入です。ノアの教典では、チケット販売やテレビ観戦など他にもスポーツ界が独立して収益を上げる方法が書かれています。スポーツ界が政府や民間企業から独立することは十分可能なのです。スポーツ界が政府や民間企業に依存する必要性は全くないのです。

 

 スポーツは何事にもフェアな精神が求められます。僕たちアスリートの影響力を企業広告のために使い、大手企業ばかりが儲かる格差社会を招いているとしたら、そのような使い方は間違っています。僕らの影響力でスポーツの競技人口が増え、けが人が増え、医療が儲かることも間違っています。国が医療費の7割を負担することで、医療ばかりに国家予算が流れるのです。そのため、スポーツ界が政治と繋がっている時点でアスリートたちが医療を儲けさせるために利用されていると僕自身も思ってしまうのです。国民の中に同じように感じている人がいてもおかしくありません。

 

 それから、最後にオリンピックの事も言わせてください。東京五輪組織委員会会長が大物政治家であることやスポーツ庁が大きく関わっていることもスポーツが政治と繋がっている証拠にはなりますが、そんなことよりも僕が今回言いたいのは、復興五輪の事です。オリンピックに良いイメージを与えるために、『復興』という言葉を利用していることです。

 オリンピックの予算は1兆3500億円。ノアの試算によると、贅沢なホテルだけを作ったとしても2万人以上の居住スペースを作ることが出来る規模のお金だそうです。東日本大震災の全国に散らばる避難者は4万7737人と言われていたため、このオリンピックに充てられた予算だけでも約半分の人達を救うことが出来たのです。しかし、この資金の大部分は被災地ではなく東京に流れ、一部の人間にだけが儲けています。見方を変えれば、被災地の方々を助けることが出来た予算をオリンピックで使ってしまったとも取れます。これでは、被災地の方々を助けるどころか、反対に足を引っ張っているようではありませんか。実際に共同通信が実施したアンケートでは被災地の現地の方々の64%が復興五輪は被災地の復興には役に立たないと答えているのです。さらに、東京中心に経済効果があることにも疑問を抱いているそうです。

 さらに、元東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏は「コロナがどういう形であろうと、オリンピックを必ずやる」と言ったことも問題です。8000人を超える死者を出しているコロナウイルスが流行している中、国民の安全を最優先に考えず、一部の人達が儲かるオリンピックを強行するような発言はあまりにも非常識ではないでしょうか。

 スポーツは政治家のものではありません!何もかも、政治家が決定して、スポーツを好きなように利用することをこれ以上、見過ごせません。

 

 政治がスポーツ界にこのような働きをするのであれば、僕はオリンピックの舞台で誇りを持って戦うことは出来ません。僕はノアの党員として衆議院議員選挙に立候補します。今の政府と全力で戦う覚悟です。他のアスリート仲間も僕の意見に賛同してくれています。僕の話を聞いて、この国を変えたいと思った方は是非、僕たちに協力してください。みなさんで力を合わせて理想の世界を目指しましょう。」

 

YouTubeでは、スポーツと政治のさまざまな問題が取り上げられ、分かりやすいように編集されていた。動画の中には、フィギュアスケートの五輪代表選手や有名選手も天馬くんに支持すると並んでいた。すぐさま、拡散され視聴回数は1日で1000万回を超えるほどバズったのであった。

 

しかし、なんと、東京オリンピックを控える日本の宝が、衆議院議員選挙に立候補までするとは思わなかった。だが、東京オリンピックの辞退に関しては触れることはなかった。もしかすると、スポーツ界が政府から完全独立を宣言するために東京オリンピックを利用しようとしているのかもしれない。今年のオリンピックは歴史的な式典になることは間違いないだろう。

 

当然、スポーツ界も大きな影響を与えていた。野球界では各球団から国民に人気のあるオールスター選手たちを筆頭に「スポーツ界の政治、民間企業からの脱却。スポーツ界の独立」を求めて声を挙げた。坂本勇也選手、鈴木誠選手、筒剛義也選手、山内哲人選手、松田浩司選手を中心に甲斐拓真選手、山瀬大地選手、菅原智之選手・・・もう、把握できないくらいの規模になっていた。さらに、海を越えてメジャーから大田翔平選手やダルビッシュ悠馬選手、田中将暉選手、前田健一選手、また、元メジャーリーガーの英雄たちであるソウイチローさんや新庄大志さん、野崎英雄さん、松尾秀樹さんも立ち上がった。政治家、民間企業からの独立の象徴として野球界の生ける伝説である王騎正治さんと長嶋茂伸さんを立てたのであった。

 

同様の動きはサッカー界にも起こっている。以前から、日本のために政治的な声を発信していた本田圭太選手を筆頭に、中田英人さん、三浦和希さん、香川真一選手など多くの有名選手たちが声を挙げた。

 

プロレス界からは、僕の大好きな正義溢れる高山延彦さんを中心に、蝶野方正さん、武藤敬一郎さん・・・名前をあげていたらきりがないのでこの辺で。そして、国民に人気のある天竜源氏さん、長州力也さんまでもが声を挙げ、何を言っているか良く分からないが、怒っている動画が人気を集めていた。テロップも不思議な記号ばかりではないか・・・。

 

その他にもプロバスケットボールラグビー、陸上、マラソン、テニス、バレー、相撲・・・などあらゆるスポーツ界の人達もこれに続く。

 

 国会では連日のように野党から問題の追及が行われている。野党も政府とグルなのではないかという話が広まっていることもあり、以前にも増して、激しい口調であるように見える。そして、以前、国会では議論されなかった問題も取り上げられている。国民からの信頼は地に落ち、このままでは国の運営自体が出来なくなるところまで来ていた。それも、動画で革命を起こしてまだ半月もしないにもかかわらずである。たった一人が動画を上げただけで、国家が傾くような政治はどちらにしても変わらなければならないのだ。だが、沈黙を続けていた政府の反撃がここから始まるのである。しかし、僕は命の危険を感じ、何も知らずに自宅に閉じこもっていたのだった。そんな時に、白田会長から電話がかかってきた。

 

「お世話になっています、白田会長。芸能界が大変なことになっていますね。しかし、ここまで騒ぎになれば、政府も終わりでしょう・・・。」

 

僕がそういうと白田会長は

「馬鹿か、お前は!今までは政府も国民の目を気にして、大きな行動には出ていなかったが、流石に政府もしびれを切らしたのか、強硬手段に走るようじゃ。」

 

 「え・・・!政府は一体、何をする気なんですか?」と僕は聞く。すると白田会長は

 

「わしの情報網から、政府が暴力団に国家予算並みの資金提供を約束したとの情報が入った。おそらく、海外マフィアにも金をばら撒いとる。政府も本気じゃ。これじゃあ、わしの人脈や資金だけでは到底、守り切れん。わしの顔の利く組には、ノアの革命に関わるもんには手を出さんよう言っとるが、金額が金額じゃ。欲に負けたもんなら、うちの組のもんでも制御出来んかもしれん。それに、ノアの革命に参加した著名人が多すぎる。わしの力ではほんの一部しか守れんぞ!」

 

白田会長がそういうと僕は「政府はそこまでするんですか?まさか外国勢力まで利用するとは。しかし、ここまで騒ぎになっては手を出せないんじゃないでしょうか?」と答えた。

すると、白田会長はすぐさま返す。

 

「芸能人でも自殺に見せかけて殺すくらい簡単な事じゃ。向こうは警察、検察、さらには裁判所を押さえておるんじゃぞ。暗殺のプロがいて、万が一しくじっても、事実を捻じ曲げられる権力がある。今の日本はそういう国なんじゃ。国民の目を欺ければ、何でもありじゃ

 

いや、政府がもう国民の目を気にするのをやめた時が本当に恐ろしい国の始まりじゃ。政府に不都合な人間は容赦なく消される。あれだけ、日本は中国を批判しよるが、所詮、日本も中国と変わらん。今までは国民に分からんように邪魔者を消していただけに過ぎん。国民に勘付かれようとも堂々と暗殺を始めるかもしれん。証拠が無ければ、罪には問えん、政府なら証拠も握りつぶすことが出来る。恐怖政治の始まりじゃ。そうなれば、今、勇気をもって声を挙げとる連中でも、命惜しさに何も言わんくなる。それで、革命は終わりじゃ。今後の日本は中国と同じように恐怖で縛られ、発言が出来ん世の中が始まることになる。

わしらはもう病院も行けんぞ。政府が最も贔屓をしとるのが医療の分野じゃ。そして、医学会はかなりの権力を持っとる。病気をして医者にかかろうもんなら、完全犯罪が出来る。それも今はコロナウイルスが蔓延しておる。コロナウイルスで死亡したとことにすれば、国民は納得せざるをえんじゃろう。

 

病気になれば、あとは政府の息がかかった病院を避ける以外方法はないが、とりあえず、お前さんは、コロナウイルスに感染せんよう、可能な限り外出せんでくれ。それから、政府は証拠が残ることだけは避けたいはずじゃ。政府が暴走をして恐怖政治が行われる前に、国民に対して、監視カメラをつけて協力してもらうようにお願いをするんじゃ。政府に強硬手段を取らせないためには国民が協力し合う必要がある。

今の警備では危険じゃ。至急、心強い用心棒を味方につけて、そして城をつくるぞ。そのために、わしは今から会わなければいけない人物がいる。」そういうと、電話は切れた。

 

 

 

政府がノアに協力する人間たちに対して莫大な懸賞金をかけることによって、全国に散らばる暴力団、海外マフィアなどが一斉に動き始めていた。動画による革命以来、最初の危機が訪れるのであった。