#9.第1章(第一節)IT界の天才が革命の仲間へ

日本のノア革命初期⑩IT界の天才が革命の仲間へ

2021年3月18日「NEXT INNOVATION

相変わらず、僕のスマホは鳴りやまない。ライングループへ次々に参加し、多くの人達がが意見をくれる。今日は僕が尊敬する憧れの人物と話すことが出来た。それはIT企業NEXT INNOVATIONの副社長を務める朝比奈恒介さんだ。NEXT INNOVATIONはソーシャルネットゲームを中心にここ数年で爆発的な売り上げを生み出し、さらに全国の市役所において、革新的な住民基本台帳ネットワークシステム(通称住基ネット)を開発し、国の情報システムの根幹部分を開発している今やIT業界のトップ企業の仲間入りを果たした話題の会社であった。記念すべき最初の朝比奈さんとの会話をここに残しておこう。

「私はNEXT INNOVATIONの副社長、朝比奈恒介と申します。「ノアの教典」を拝見させていただきました。あなたの描く新世界は実に魅力的だと思います。率直に申し上げるとノアの世界を実現する会社を私たちに任せてもらいたいのです。現在、わが社が開発している住基ネットにより、全ての国民がスマートフォンで簡単に国に登録されている自分の情報が見られるようになっています。さらに、住民票なども自宅で簡単に印刷まで出来るようになりました。国の運営に関わる事業を展開することにより、わが社の売り上げは10倍以上に跳ね上がりました。表面上にはうまくいっているように思えるかもしれませんが、実は国に住基ネットのシステムを採用してもらう条件として、定期的に天下りしてくる官僚を受け入れなくてはならなかったのです。天下りを受け入れなければ、住基ネットの利用を打ち切られ、母体が大きくなった会社は倒産に追い込まれます。実質、現在のNEXT INNOVATIONは官僚の支配を受け、政治の言いなりにならざるをえない状況です。確かに革新的な住基ネットにより、国民の生活は少しだけ便利になりました、しかし現在の政治では理想的な仕組みを作ることは不可能です。

しかし、新世界ノアは違う。国民自らが政治を行うことで、次々に理想の世界が実現していく。現在の住基ネットの先に描いていた世界が実現できるのです。私たちに、新世界のインフラを作らせてください。NEXT INNOVATIONの社長である日向徹もまた、官僚の言いなりになっていることに嫌気がさしているところです。彼は天才です。それから、彼が認めた仲間たちも並外れた技術力を持っています。新世界の実現のために必要な仮想通貨や政治システム、ショッピングサイト、クラウド監視カメラのセキュリティサービス、全てを短期間で開発することが出来ます。私たちには新世界ノアを実現できるノウハウと資金力がある。今のあなたの影響力があれば、「ノア」の名前を出しただけで、確実に巨大な企業に成長できると考えています。この国だけではなく世界中にノアの新世界を望む人たちは多くいるのは間違いありません。あれは、本当に理想の世界だからです。既にあるサービスを作ったとしても、新世界を望む人たちは、どうせ使うお金なら協力のためにノアのサービス利用するはずです。

私は社長の日向徹とともに、エンジニアを何人か引き連れて、あなたと共に新会社を立ち上げたいと思うのですが、いかがでしょうか?」

 

ああ、鳥肌が立つほどうれしい提案だ・・・。あの憧れのNEXT INNOVATIONのナンバー2の朝比奈さんに僕の書いた「新世界ノア」が認められた。ここは、興奮を抑えきれない・・・しかし、冷静に応えなければ。

「初めまして。千手武尊と申します。まさか、あのNEXT INNOVATIONの朝比奈さんと直接会話が出来るなんて夢のようです。NEXT INNOVATIONのみなさんが協力してくださるなんて願ってもない提案です。是非、こちらからもよろしくお願いします。

ただ、僕は新世界の実現において、コントロールが出来る立場にいたいのです。全て僕の想像したように作ってほしいという訳ではありませんが、意見を言える立場を用意していただけないでしょうか。特に政治の根幹に関わる点においては、変更しないでいただきたいのです。これらを約束してもらえるでしょうか。」

 

朝比奈さんはそれに対して次のように言った。

「その約束はお守りします。私としましても新世界ノアをNEXT INNOVATIONが乗っ取ったと思われは国民と敵対してしまうことになります。今もこれからも革命の顔はあなたです。日向徹と組めば、国民の多くが注目することは間違いありません。だからこそ、タケル君は取締役として招きたいと思っています。それだけではありません。新世界ノアを実現するにあたって、複数の会社を立ち上げます。1つの会社に代表取締役として就任してもらい、他の全て会社で取締役として就任します。ただし、これはタケル君だけではなく、私や日向徹、そしてNEXT INOVATIONの仲間たちも同様に、重役に就いてもらうという条件です。もともとタケル君が考案した新世界なので、タケル君自身が最高の看板になります。私たちにとってもタケル君は絶対に必要な存在です。タケル君にとっても、私たちの技術力や資金力が必要なはずです。ですので、お互いが平等な条件で共に会社を作りましょう。この条件なら、ご満足いただけると思うのですが、いかがでしょうか?」

 

 いやいやいやいや・・・。そんなにいくつもの役員なんて。憧れの朝比奈さんが夢のような話を持ってきてくれた。なんて太っ腹なんだ。興奮を抑えることが出来ないが、冷静になるように自分自身を言い聞かせて僕は返事をした。

 

「十分すぎるほどの条件です。身に余る光栄に思います。僕は報酬は贅沢をいいません。その代わりに可能な限り、僕の意見を取り入れていただけたら幸いです。僕が描いた理想の世界が実現する以上の幸せはありません。」

 

 それに対して、朝比奈さんは次のように言った。

「そうですか。承諾して頂けて、こちらも安心しました。新世界ノアを実現する会社は、タケル君の動画や本、SNSによる拡散で最高の広告になります。これ以上の広告はありません。それにこの先、ノアを支援しようとする人たちの数はこんな規模では収まらないでしょう。新世界の思想はおそらく、日本の人口の9割以上の人達からの賛成を得られると予測しています。そして、そのさらにその先は世界のインフラになるのは間違いありません。ノアの世界を実現しようとする人達で世界中が溢れれば、あらゆる分野でビジネスを独占出来ます。さらに、このビジネスは国家を作ることそのものです。国民の資金だけではなく、国家予算もまた流れてくるビジネスとなるでしょう。これは、今のNEXT INNOVATIONとは比較にならないくらいの、市場規模だと確信しています。そう言えば、確か、クラウド監視カメラサービスも作るつもりなんですよね?密かにライングループで会話をのぞいていました。うちの会社なら、それももちろん作れますよ。タケル君、共に新世界を作りましょう。期待していますよ。」

 

・・・・・・。夢のような時間だった。僕もまた、プログラマーの端くれ。本物の技術者であり成功者はLINEにも関わらず、言葉の重みが違った。それから、自警団をより完璧にするためには、クラウド監視カメラサービスの会社を独自で持つことは必須だ。もし、その会社が政府の圧力によって潰されたり、サーバーを物理的に壊されるリスクもある。また、裏切らない保証はどこにもない。警察に頼れない以上、このセキュリティサービスだけは自分自身で立ち上げなければならないと思っていた。それに、このセキュリティサービスは暴力団をこの世の中から無くす秘策も考えてある。朝比奈さんのおかげで技術的な面と資金面の不安が同時に解消された。

 

2021年3月19日「命を守る自警団の強化」

LINEは相変わらず、登録者数が増え続けている。それもそのはず、「ノアの教典」と「ノア日記」をアップロードしてからわずか9日でYouTubeの登録者数が30万人を超え、ほとんど全ての動画の視聴回数は100万PVを超えた。

LINEグループで活発に話している内容の一つに、「僕の命を何とかして守ろう」という声がある。涙が出るほどうれしい・・・。僕は命の危険を感じ、監視カメラを家の周辺に設置して自宅に引きこもっている。確かに、何かあった時に危険を早く察知できたり、証拠を残したり出来るだろう。しかし、政府がそれを覚悟の上、本気で殺そうとすればほとんど無抵抗のまま殺されてしまう。それを、危惧して何とかできないか話し合ってくれているのだ。現在は、アトムのホームセキュリティとセイバーの防犯カメラのクラウドサービスを利用している。自宅には7つのカメラを設置している状態だ。これに加えて、ボディガードや警備員をつけようという話になっている。協力者全員で負担すれば、月額30万円位なら出せるのではないか・・・。そもそも、命の危険をおかして30万円で引き受けてくれる人がいるだろうかという心配があったが、ライングループの中にコロナ禍で職を失った人たちや仕事が減った人たちも少なくなく。また、そういう生活に苦しんでいる人ほど新世界の実現を望んでいるため、警備員やボディガードの立候補する人たちも現れたのだった。

万が一、警備員やボディガードの人がスパイであって裏切った場合は、あっけなく殺されてしまうかもしれない。そこで、異常があったり緊急の場合を除いては自宅の敷地内には入らない事、また、警備員やボディガードとして顔や名前の公開を条件とした。その代わり、新世界が誕生した際には、特別な勲章を与え、遊んで生きていけるのに十分な報酬を与えることを新世界ノアのグループのみんなと約束した。

こうして、数日後には自宅のセキュリティが大幅に強化されることになるだろう。昼間と夜間にそれぞれ別の警備員が2人自宅の前に立つことになった。さらに、自宅内にはボディガードが1人ついてくれるようになった。

 

少し前に比べれば、なんて安心感のある自宅になったのだろう。これも、みなさんのお陰だ。今後もずっと最も信頼できる近衛警備員としていてくれると頼もしい。新世界ノアがうまくいけば、キングダムで出てくるような王室近衛騎士団みたいな人達だよな・・・。凄くカッコイイじゃないか。

 

僕の動画を見て、みんなも僕が命の危険があるかもしれないと感じてくれているのだろう。そうでなければ、ここまでしてくれるはずがない。子どもでも、簡単に自宅の台所から包丁を取り出し、人を殺せるような世界だ。プロの殺し屋なら拳銃などの殺しの道具だけではなく、死体処理の設備まで整っている馬鹿げた世の中を作り上げている。年間約9万人も行方不明者が出ても暴力団を無くさず、世の中を変えようとしない政府を信用する人の方が少ないに違いない。

 

ここまでしてくれているけど、家の外に出るのはやっぱり怖いな・・・。もっと安全になるまでは引きこもっておこう。しばらくは自由が制限された快適な牢獄に住んでいるような生活になるな・・・。もとより覚悟の上だが、精神的に病まないよう気晴らしをうまく取り入れながら、やっていくしかないな。

 

2021年3月20日「最強の弁護団結成」

裁判所のデータによると日本では1日に1万件以上の訴訟が起きている。この世の中はまともではない。ひとたび、1件の訴訟問題でも起これば、答弁書の作成から始まり、口頭弁論や尋問、何度も法廷に足を運ばなければならない。1年以上に及ぶ戦いで肉体的にも精神的にも疲労困憊する。それも、政府に逆らう人間に平等な裁きなど期待は出来ない。内閣は「任命権」によって裁判所を支配しているため、政府の息のかかった裁判官に担当させればいい。それが無理だとしても民事裁判なら1人、刑事裁判でも多くて3人の裁判官に圧力をかければいい。政府には暴力団もついている政府に逆らうようなら裁判官の家族にも圧力がかかるかもしれない。政府側に有利な判決が当然のように行われるだろう。違法行為をした人間として人格が壊され、人々を導く力を失わせる。それも1件の訴訟ではなく、訴訟の嵐で実質的に何の活動もさせないことも出来るだろう。訴訟に対して無視をすれば全ての罪を認めたことになってしまう。政府と戦う上で弁護団は必ず必要になる。

ライングループには、全国の弁護士の方も集まってきている。弁護士の方々が一番、政府との戦いで裁判を制さなければならないことを知っていた。裁判官が買収されたり、圧力をかけられていた場合、正攻法では絶対に勝つことは出来ない。だからこそ、閉ざされた裁判を公開するためには僕が裁判の内容を発信することが最も有効的だ。国民が力を合わせて裁判を監視すれば、どうどうと理不尽な内容の裁判を行えないだろう。全国には「桜を見る会」に反対し、提訴した弁護士などの法律家941人分の告発状が東京地検に提出されている。政府に対する反対者は弁護士にも多い。今は10人あまりの弁護士団だが、今後、必ず1000人を超える弁護士団が誕生するだろう。国民全員を巻き込んで、歪められた裁判を正していけるはずだ。