8.「ノアの教典」 8章「『教育』~理想世界実現のための教育~」

 新世界ノアでは、世界中の人々が「夢」を持っています。それは、みんなが幸せに生きていける世界を創る夢です。その世界を実現するために仕事をし、その仕事が出来るように教育が行われるのです。ノアでは義務教育はありません。人々が必要性を感じて、自分の意志で教育を受けるのです。

 

ノアでは五大教育「建築」「ホテル」「医学」「食」「防衛」が無料で提供されています。

 

過去の時代のように、学校に入るための試験や条件などは存在しません。医者になりたい人が医学を学べない世界は間違っています。同様に国民が学びたいことを学べることが重要なのです。

 

 五大教育ではありませんが、「教養」も無料で提供されています。「簡単な算数」や「本の読み書き」などで、生きていく上で最低限必要な知識を学べます。教育期間は設定されておらず、義務ではないため、希望者のみ受けることが出来ますし、いつでもやめることが出来ます。

 

 新世界の実現に最も重要なのが「建築」です。国家予算1000兆ベリーの9割をエデンの建築に充てるほど、重視しています。「建築」では、ほとんどの人々が建築作業員としての知識や技術を身に着ける教育を受けるのが一般的です。また、建築作業時の安全についても学びます。肉体労働になるため、大変な仕事ですが、最も需要が多く、国から補助を受けられる優遇された仕事になっています。建築作業員と言っても、種類は様々で「大工」「鳶職」「左官」「電気工事士」など多くの仕事が存在します。需要が多いため、安全や最低限度の知識や技術を身に着けることが出来たら、すぐにでも働くことが出来ます。教育は早い人で3カ月遅くとも1年間で知識や技術が習得できるようにカリキュラムが組まれています。仕事を行いながら、学ぶことも出来ますし、何度でも受講できます。これらの職業はエデンを建設する上で重要な仕事のため、需要が大きくほとんどの人達が資格を取り、いつでも仕事が出来るようにしています。仕事が無くて困ることがない様にとりあえず取得しておく資格として最も人気のあるものになっています。

 五大教育すべてに共通するのですが、教育期間は出来るだけ短くなっています。最低限度の教育を受ければ、仕事をすることが出来、仕事を通して次第に覚えていくからです。すべて実力主義となっており、資格の取得が全てなのです。この資格は新世界ノアでは、世界中で通用する資格のため、どこの国に行ってもすぐに仕事をすることが出来ます。

 一般的な仕事に関する教育期間は短いですが、学者や博士などの高度な学力を有する資格は取得をするのにかなりの努力や知能が必要となり超難関となっています。その上、資格を取った後も、エデンの建築に関われるのはほんの一握りの人しかいません。最も収入の多い職業の一つとなっています。建築においても「学者」「博士」が存在します。例えば、「建築」の学者は、「土地調査」「建築デザイン」「ホテルの建築設計」「建築研究」さらに上級の博士になると仕事は「アスクレピオスの建築設計・デザイン・研究」「エデンの都市開発」「防衛建築」を行うことが出来ます。努力だけはなく、才能も必要でありほんの一握りしかなれない学者や博士ですが、最も優遇された職業であり、目指す人も少なくありません。

 また、このカテゴリーにはアークの製造や開発なども含まれています。建築同様に作業員の資格は非常に取りやすく、「学者」の称号を持つ開発者は、「アークのデザイン・安全性・設計」などを手掛けることが出来ます。その他、エデンの運営を支える電気やガス、水道など「エネルギー」に関する仕事の教育も行われています。

 

 五大教育の二つ目が「ホテル」です。エデンの運営を支えている重要な職業の一つです。ノアの全ての使徒がホテルに住むため、人々をもてなし生活環境を整えるホテルマンは需要が多く、無くてはならない職業です。肉体労働もなく人気の職業ですが、世界トップレベルのホテルが監修しているため、資格の取得は簡単ではなく、礼儀や作法など厳しく指導されます。また、能力に応じて上級の資格がいくつも用意されています。口コミや資格の取得後も格付けが行われ、給料もそれに応じて変わってきます。中には、ホテルマンを指導するリーダーやアスクレピオスのホテルマンとして働いている人たちもいます。さらに、エデンの中でも特別なヴァルハラのホテルやアスクレピオスで働ける最高クラスの特別なホテルマンの資格も存在しています。

 

 五大教育の三つ目が「医学」です。過去の教育では医学を学ぶのに「学力」や「お金」など高いハードルがありましたが、今では、医学を学びたい人は誰でも学ぶことが出来ます。新世界では医療の99%が幹細胞治療になっており、細胞培養士が最も需要が多く人気の職業になっています。アスクレピオスの細胞培養施設で働き、人々の幹細胞を培養することによって、若返りや老化を止めることが出来ます。また、高速治癒が行えるため手術や大けがに備えています。ノアの世界では、病気や怪我で苦しむ人はほとんどいなくなり、治療を行う医者は激減しています。そのため、過去の時代と同様、医者はごく一握りの人しかなれない職業であることは変わりません。また、治療よりも予防医学や研究医学に力が入れられています。特に秀でた医学者は「学者」や「博士」の称号が貰え、より高度な職業に就くことが出来ます。

 また、新世界では幹細胞治療を行う限り、自然に死ぬことはないため「安楽死」が認められています。より恐怖や痛みを感じない安楽死の医療もまた、研究されています。

 

 五大教育の四つ目が「食」です。「食」に関する職業はエデンの建築の次に重要な職業とされています。「料理」だけでなく「農業」や「漁業」「畜産業」などの教育も受けることが出来ます。新世界ノアでは、一般の人々は料理が出来ないため、料理人の需要は激増しました。全ての使徒が一定金額まで食事を無料で提供されているため、料理人は国から補助が出る対象となっています。また、料理店のテナントは国に賃貸料を払うことで出店できるため、資金がない人達も料理を学び次々にお店を出しています。

 「農業」の知識に秀でているだけでなく、より健康な無農薬や化学肥料による栽培方法を実践している者は「学者」や「博士」の称号が貰え、農業者の指導者になることが出来ます。国民のより安全で健康なおいしい食材を生み出せるように学ぶことが出来ます。「漁業」や「畜産業」なども同様に「学者」や「博士」の称号が用意されています。

 

 五大教育の五つ目が「防衛」です。人々の命や安全を守る職業に就くための教育です。ここでは唯一、格闘技を学ぶことが出来ます。多くの道場などが校内に入っています。全ての人達が格闘技を学ぶことが出来るのではなく、道場の指導者に資質を認められた人のみが訓練を受けることが出来ます。また、犯罪者は一定期間このカテゴリーの教育は受けることが出来ず、複数回、犯罪を行った時点で、格闘技や体を鍛えるジムなどに通うことが出来なくなり、資格が剥奪されて「防衛」の仕事は出来なくなります。より安全な世界の実現のために厳しい法律が定められています。格闘技に関しては、エデン内の条例として例外を認めるためには、エデン内に住む過半数の賛成が必要になります。自由に格闘技を学べるエデンも少ないですが、存在します。「防衛」の仕事は「警察官」や「自衛官」があります。しかし、近年は犯罪がほとんど0になり、仕事がないため、最低限度の人数で構成されています。

 消防士など格闘技を学ばない職業も存在し、治安が良くなるにつれ年々減少傾向にあります。

 

 このように、理想世界を実現するために必要な「教育」は無料で提供されているのです。年齢制限や試験、条件などもありません。誰もが希望すればいつでも「教育」が受けられるのです。

 

 その他の教育は民間企業が行っています。「美容師」「デザイナー」「プログラマー」などの知識や技術を提供している学校もあります。また、さまざまな企業に特化した知識や技術を学ぶことが出来る学校もあります。就職時、学歴やスポーツで差別することは禁止され、資格の取得が全てになっています。

 

 過去の教育の話をしましょう。教育の目的は政治によって歪められていたのです。

政府は国を安定して治めるために「格差」を作ります。奪う側に回った人たちは今の世界に満足し政府に協力をします。奪われる側に回った人々は不満を持つのですが、国を変えようとはしません。奪われる側に回った人々の方が圧倒的に多いにもかかわらず、それが出来ないでいるのは「あらゆるものが奪われている」からなのです。

 

 過去に行われた義務教育の真の目的は「奪う」ことにあります。

 

だからこそ、過去に行われていた勉強はほとんど社会に出ても役に立ちません。その証拠に大人たちは学生時代に学んだほとんどの知識を忘れています。

 

 「なぜ、旧政府は意味のない勉強を国民に強いていたのか」考えてみましょう。

 学力で人々を選別した大きな理由は次の4つです。

 

①日本最高峰の頭脳を政府側に取り入れ協力させるため

 日本の政治システムの最高機関である官僚の多くは東大出身者が多かったのです。日本最高峰の頭脳が奪われる側の貧者に協力をし、国を変えるために行動を起こせば政府の脅威となりえます。1,960年代では、高学歴の学生たちが政府に反対して学生運動が行われていました。知能の高い人々が政府の敵になることは不都合だったのです。だからこそ、知恵あるものを貧者から奪い、仲間に引き入れる必要がありました。

さらに、東大に合格するためには、かなりの犠牲を伴ったのです。「お金」「時間」「苦痛」「忍耐」「努力」・・・全てが異次元でした。そのため、東大卒の人たちが官僚になると上の人たちに逆らうことは出来ません。今まで積み重ねてきたものが全て無意味になりエリートの道が閉ざされてしまうからです。彼らは政治権力者の従順な下僕となり、日本最高峰の頭脳は「政治で国民から搾取する仕組み」を作り出すのに利用されたのです。だからこそ、国を変えるためには歴代の東大生たちや高学歴のエリートが考え出した政治の仕組みの「からくり」を見抜かなくてはなりませんでした。彼らが作りだした仕組みが国民を苦しめていたのです。

 

②「お金」「時間」「知識」を奪うため

 奪われる人間が反抗しないようにするためには徹底的に奪う必要がありました。「お金」だけではなく「時間」や「知識」も奪わなければなりません。この3要素はどれが欠けても国は変えられないのです。義務教育はこれら3つ全てを奪い取ります。

 小学生から大学までの教育期間は16年間あり、大人は子供の教育費で「お金」が奪われ「労働」で「時間」が奪われます。そして、子供たちは16年と言う大切な「時間」を奪われ、無駄な知識を大量に与えることによって情報過多にし「国を変えるための知識」を奪うのです。義務教育に「法律」や「政治」を深く学ばないのは国民の反発を抑えるためです。1,960年代では高学歴の若者たちが「学生運動」を盛んに行っていましたが、新世界ノアの思想が広まるまでは一切の運動が行われなくなっていました。「世界中の人々が幸せに生きていける世界をどう作ればよいのか」という最も重要なことに頭が使われず、政府の思うがままに教育が与えられ、洗脳されたのでした。

 

身分制度を作り、格差を作るため

過去のインドでは「カースト制度」という生まれによって身分が決まり、就職できる職業が決まっていたのです。学歴社会はまさに「生まれ」ではなく「学力版」の「カースト制度」でした。しかも、「カースト制度」よりもたちが悪いことに16年という歳月をかけ、政府の都合の良いように「知識」を与え「お金」と「時間」を奪うことも出来たのです。

なぜ、大人たちが勉強をさせていたのでしょうか。「勉強には意味がなく、生活の役に立たない」ことを多くの大人たちは気づいていたのです。大人だけでなく、子供ですらも気づいていました。しかし、多くの企業が学歴で就職差別をするのを知っていたからです。企業だけではありません。世間の人たちの多くが、学歴で評価しその人の価値を見定めていました。反対に学歴で勉強が出来ないとレッテルを張られ社会で生きていくのに不利になる人たちもいました。子どもが差別をされる側に回り苦しい生活を送るよりも差別する側に回った方が良いため、勉強をさせていたのです。しかし、それは差別を見過ごし、差別をする社会を歓迎しているのと変わりません。

医者は明らかに政府が優遇している職業の一つでした。国内最高レベルの学力もしくはお金がなければ学校で医学を学ぶことすらも出来ず、医者になれませんでした。この学歴社会という身分制度で医者と言う職業を諦めた人達は少なくありません。理想の教育は「医者になりたいと思う全ての人が医学を学べる教育です」医学で優れたものが医者になるべきで「お金」や「学力」で差別するのは明らかに間違っています。

 

④政治支配のための洗脳をかけるため

 16年と言う教育の期間は、政府にとって都合の良い知識を植え付けさせ「洗脳」させる目的もあります。例えば「税金」のことは深く学ばないのにも関わらず「累進課税」のことはしっかりと学ばせるのです。日本の教育の「累進課税」とはお金持ちほど、たくさん税金を払っていると思わせる格好の税金でした。しかし、これは厳密には違います。「累進課税」の真の目的は「奪われる側である貧者を奪う側に回らせないため」の税金だったのです。こう考えることが出来ると、累進課税もまた「貧者に不利な税」だと理解できるでしょう。

 「累進課税」は収入が多くなればなるほど、税率を高くするものです。世の中には借金をして、起業し大きな収入を得ようと必死に努力をしている人たちもいます。この人たちが大きな収入を得ても累進課税によって課税されてしまいます。高額な借金をしている人が本当にお金持ちなわけがありません。お金持ちほど税金を払う仕組みにするのであれば資産に対して税をかけなければなりません。ところが、現実には資産に税がかかるどころか利子が付き「お金がお金を生む」格差固定の仕組みが成り立っていたのです

 また、「竹島問題」や「北方領土問題」「尖閣諸島」など日本の領土だという認識を与え、国民に支配者思想を植え付けたのです。万が一戦争になった場合には、国民を国のために命を懸けて戦う兵士にするため洗脳をかけたはずです。

 さらに、政治に関しては無意味な情報を覚えさせた上で、最も重要な国の三権分立を学ばせました。そして、嘘の「国会」「行政」の役割を教えてあたかも国会や内閣で政治が行われているのだという洗脳をおこなったのでした。政治は全て官僚が行っており、国会や内閣はその指示通りに動いているだけなのです。なので、どの政党が政権を握っても、内閣が変わっても政治は変わらないように出来ていたのです。政府にとってはそれを国民に感づかれると都合が悪いので、官僚については一切学ばせませんでした。官僚問題は日本を変えるために学ばなければならない最も重要な教育の一つだったのです。

 

⑤選挙権を奪うため

 もし、子供たちが16年間もの勉強期間を与えられず、国民の多くが幼少時代から社会経験をし、お金を稼いでいたら、選挙権はもっと若い世代にも与えられていたはずです。

 大人の条件として「経済的自立」や「社会の経験」が上げられます。仕事をしなければ、どんなに勉強をしたところで両親から養われる立場です。そのため、未熟な子供のイメージを与え正しい政治的判断が出来ないという理由で選挙権が与えられていなかったと考えられます。しかし、成人している大人よりも学生たちの方が政府によって与えられた政治の知識は遥かに上です。政府による洗脳と都合の良い情報だけの勉強でしたので、確かに正しい政治的判断は出来ないかもしれません。意図的に「選挙権を奪う」ために本当に必要な政治の知識や社会の知識や経験を与えなかったのです。

2016年以降は18歳から選挙権が与えられるようになりましたが、法律が施行される前は20歳以降にしか選挙権は与えられていませんでした。政治を支配する側にとって選挙を与える範囲が狭ければ狭いほど、支配しやすいのです。なぜなら、国民を絶対的に支配するには、民間企業の買収による選挙を行う必要があるからです。

奪う側である大手の民間企業へ天下りを行い監視役として政治的圧力加え、さらには特別会計を合わせて国家予算300兆円もの資金を、民間企業にばら撒き行い、買収したのです。労働者として服従している多くの国民は会社から応援する議員が伝えられ、務めている会社のためにと一票を投じるのです。つまりは、社会に出た人間ほど民間企業を通じて選挙をコントロールしやすいのです。

それに比べ、学生にこのような不公平な選挙をさせることは難しいのです。学校の先生が学生たちに、支持する政治家を伝えるのは明らかに違和感があります。間違いなく国民の強い反発を受けるでしょう。民間企業であれば利権やしがらみなどがあり、労働者も会社存続のために仕方がないと考えるかもしれませんが、学生はそれが出来ないのです。

18歳まで選挙権が拡大した背景には、当時、独裁政権であった自民党の余裕が見られます。若者は勉強と遊びに夢中になり、選挙に興味を持たないと考え今の政治に大きな影響は与えないと判断したからに違いありません。

 子供たちに政治的判断が出来なかったのは与えていた教育や社会を経験させなかったことが原因です。また、子供たち以上に間違った政治的判断をしていたのは大人たちでした。民間企業の買収によって利権やしがらみだらけの金にまみれた歪められた選挙を行っていたわけですから。

 

 「国民にとって無駄な教育は政府にとっては非常に意味のある事」だったのです。政府が都合よく国民を支配するために教育がなされ、子供は16年間の時間が奪われ、大人たちはお金が奪われて、生活に負担を与えていたのです。さらに、洗脳までかけられ選挙権まで奪われるのです。時として、いじめや学業の苦痛から自殺を図った子供たちは命まで奪われました。

 

 政府の都合のいいように国民が支配されないためには、学力で人々を差別する社会を無くさなければなりません。これが悪いことであると国民も企業側も気づかなければなりません。勉強が出来ないことで、卑屈になってはいけません。勉強など政府が国民を都合よく支配するために利用しているだけに過ぎず、何の意味もないのです。それどころか、勉強は「格差」を生み出し貧者をより不幸にしていたのです

 

 悪い政治ほど教育で国民を騙す必要があります。格差が生まれ、不満を持つ人たちが大勢生まれるからです。過去に行われたのは「学校教育」と「テレビ」による教育です。これらによって、洗脳が行われていました。学校教育に16年。テレビで毎日、無駄な情報と洗脳を与えたのです。

 

 すべての国民が「世界中の人々が幸せに生きていける世界」を考えなくなった時、それは教育によって歪められている可能性が高いでしょう。なぜなら、それが最も重要な教育の原点だからです。教育とテレビで情報過多にさせて、本当に大切なことを考えられなくされています。過去の政治のように強制的に与えられている情報がないか考えてみましょう。その洗脳から国民が抜け出さなければ、本当に理想的な世界は実現しません。

 

 国民全員が「世界中の人々が幸せに生きていける世界」を夢見て、それを実現しようとしている世界が本当に正しい世界なのです。教育はそのために行われなければならないのです。