15.「ノアの教典」 15章「『心』~奪わない心と分け合う心~」

新世界ノアでは「奪わない心」と「分け合う心」を持つ教育が行われます。奪い合っていた過去の時代と分け合う新世界ノアの世界を比較して、理想世界を実現するためにより精神的な成長を果たしましょう。

 

人々は具体的に学ばなければ、奪い合っていることに気づきません。例をいくつか挙げましょう。

 

奪い合いの一つ目は「政治」です。過去の政治では、官僚(本当の政治家)が政治を独占していました。富裕層や権力者にとって都合の良い政治を行っていたのです。毎年300兆円(※1円=1ベリー相当)規模の国家予算が組まれていたのにもかかわらず、国民が生きていく上で必要なところにお金が使われていませんでした。そのため、国民は生きていく上で必死に奪い合うしかなかったのです。

政治と言う国家を動かせる権力は奪い合ってはいけません。例え、選挙を行い国民の意志が反映されたとしてもです。実際はテレビなどのメディアや義務教育を使って国民を騙し洗脳されていましたし、毎年300兆円規模の国家予算を使うことが出来る与党は民間企業を買収し、不平等な選挙になっていました。これでは、民意が選挙に反映されたとはとても言えません。国民が権力者に支配されることが慣れてしまい、「政治」という最も大事な権力を一部の人間に奪われていたのです。

 

大切なのは「奪う」ことではなく、「分け合う」ことです。「政治」という国家権力は国民全員で分け合うことが重要です。それを実現するのが国民投票による直接民主制です。直接民主制になった現在は「大きな政府」となり、毎年1000兆ベリーの国家予算を国民が最高レベルの生活を保障するために使われています。予算が足りなければ、補正予算を国民自身が組みなおし、必要な分だけ予算が組まれています。国債の仕組みを変え、通貨発行権を最大限に利用しています。それによって、国民の理想が次々に叶えられ、国民の生活は大きく変わりました。全ての国民が将来の心配をすることなく生きていける世界が実現したのです。

 

奪い合いの二つ目は「食」です。旧時代では人々は家庭ごとに食事を作り、外食は稀にしかしなかったのです。食事が政府によって保障されていませんでしたので、外食をせずに家庭で料理をすることで、食費を大幅に削減できました。また、自炊をすることで健康を維持することも出来ました。

しかし、問題も発生しました。家庭一つ一つに台所を付けなければなりませんでした。もちろん費用の負担もありますが、台所には人を殺すことの出来る包丁があるだけでなく、火事の原因になるコンロもあるため、危険な世の中になってしまいます。さらに、料理が得意な人は良いですが、当然、料理が苦手な人や出来ない人もいるため、美味しくない料理を毎日我慢して食べたり、栄養バランスが崩れ健康被害に陥る人もいたのです。さらに、料理の材料を買うために毎日買い物に行かなければなりませんし、料理を作る時間や食器や台所を片付ける時間も毎日奪われることになりました。さらに、料理を学ぶためにテレビを見たり、料理本を読んだり、料理教室へ通うと言った努力も必要だったのです。

 

そして、「食」を奪い合った最大の問題が噴出します。2020年に大流行したコロナウイルスでは感染拡大を阻止するために、外出自粛が呼びかけられ、飲食店は大打撃を受けました。そのため、多くの飲食店が閉店を余儀なくされたのです。中には飲食店への支援が十分ではない政府に対して訴えかけるように、油をかぶり自ら火をつけて自殺した人もいました。

 

料理を「家庭」と「飲食店」で奪い合っていたことによって起こる問題です。そもそも、政府が食の保障をせずに多くの人々がギリギリの生活を行っていたため、国民はどんなに料理が下手で家事が増えようとも生活費を抑えるために「家庭で料理を作る」という選択肢しかありませんでした。奪い合うしかなかったのです。

 

理想なのは奪い合わずに、質の高い方に譲ることが重要なのです。料理の修行をしたプロの料理を1人でも多くの人達が食べられる方が良いのです。毎日おいしい料理が食べられる理想の世界を実現しようと考えるなら、国民は「食」を飲食店から奪ってはいけません。家庭で料理をしなくても良い世界を作ればいいのです。

 

 「食は料理のプロに任せる」と国民が決めたのなら、直接民主制の世界ではそれに向かって大きく変わっていきます。

 

新世界ノアでは、家庭に台所はなく、購入することも出来ません。全ての国民はホテルのレストランで食事をとらなければなりません。そのため、プロのシェフが作った料理を毎日無料で食べることが出来ます。レストランで食事をとるため、料理はもちろん買い物も、後片付けもいりません。家事の負担は大きく軽減したのです。毎日プロのシェフが作った料理を食べられる世界を作るためには、それなりの予算が必要になります。この予算こそが実現不可能だと思われていた原因の一つですが、大きな政府として国家予算が1000兆ベリーを超えるため、十分な予算を確保することが出来ます。

具体的にお金の流れを紹介すると、料理はスマホを通して注文を行います。現在では毎日3回1食当たり1000ベリー分の食事を国が補助するようになっていて、自動的にレストランに支払われるようになっています。この予算は、国民一人当たり、1年間で最大約110万ベリーの費用がかかります。日本人を1億3000万人とすると、年間で最大約143兆ベリーの予算でいいのです。1食分500ベリーの補助で良ければ、年間71兆ベリーの予算で済みます。これで、誰も食費を気にすることなく1日3回、プロが作ったおいしい料理を楽しみにすることが出来ます。

 

健康管理面においては、料理人は必ず栄養士の免許を義務付けられており、料理全てにアレルギーだけでなく、カロリーや摂取できる栄養素の表記をしなければなりません。この表記は料理検査士が抜き打ちで検査を行い、情報入力を行います。そのため、料理のQRコードを読み込むと様々な情報を見ることが出来ます。さらにスマホのアプリで健康維持が出来るようになっており、食事によって健康を損ねないように必要以上のカロリー摂取や偏食が出来ないようになっています。

 

その他にも、「髪を切る」ことも奪い合うべきではありません。美容室や理髪店などのサービスを利用する方が人々の見た目は良くなります。新世界では最高レベルの生活が保障されているため、それほど、節約したり、貯金をするという習慣がありません。将来に対する不安を抱かないのです。「所有の禁止」によって、はさみやバリカンなども持てませんから、自分で髪を切ることは出来ません。美容室や理髪店なども、旧時代より発展を遂げた事業の一つです。人は奪い合うのではなく、よりサービスの高い方へ譲り、分け合うべきなのです。

 

 奪い合いの三つ目は「家」と「土地」です。旧時代の人々はマイホームを持つことに憧れを抱いていました。全ての国民が土地を買い、家を持つことを許されていたのです。人々がマイホームを持つことに憧れた理由は、満足の出来る安定した暮らしを手に入れるためには、土地と家を手に入れることが必須だったからです。国や県、市が提供している団地は、今のエデンにある高級ホテルとは大きく違い、罪人が住んでいるホテルよりも狭く、そこに家族で暮らさなければなりませんでした。しかも、そのような団地に住むのにも、毎月1~3万円程度の支払いをしなければなりませんでした。民間が経営するアパートやマンションを借りると、新築の費用を払うローンと同額程度の支払いをしなければならないため、土地を買い、家を買い、安定した暮らしを手に入れるために資産を作ろうとしたのです。

 

家や土地を買うとこれもまた、政府が国民に生きるために必要なものを与えなかったことが理由です。

一般的な国民の生涯年収は2億円と言われており、自動車の生涯コスト約4000万円と家の生涯コスト約6000万円で、住宅と自動車だけで生涯年収の半分以上を占め、国民を苦しめたのです。これに加えて、食費や電気代、ガス代、水道代、電化製品など生活していく上でかかる生活費を支払わなければなりませんでした。この生涯年収は週に5回、1日8時間、さらには残業や休日出勤をして稼ぐことの出来る収入です。現在の罪人に与えられる強制労働と変わらない生活を強いられ、奴隷のような人生を送ることになったのです。

 

 これは「家や土地」を奪い合った結果、引き起こされた悲劇なのです。奪い合いの世界では、奪われる側になった人々は苦しみの人生を歩まなければならなくなります。旧時代の人々は政府から奴隷のように働かされてほとんど遊ぶ時間がない生活を送っても、苦しみの中から幸せを見つけ出して必死に生きていたのです。奴隷のような人生が当たり前になり、周りの大勢の人達が同じような暮らしをしていれば、苦しい生活だと気付かされることもありません。何もない人生が当たり前、当たり前の日常に幸せを探して、当たり前の人生が幸せと思いこむことで生きていました。しかし、そのような世界は虚無以外の何物でもありません。

 

今は政府によって世界中の人々が最高レベルの生活が出来るように保障し、安心して生きていける世界です。世界中の人々が働くことで、現存しているエデンよりももっといいものが出来る期待を膨らませ、次々に高品質なエンターテイメントが生まれていきます。世界中の人々が理想の世界を目指して、生きているため、心の底から、未来はもっと良くなると思えるはずです。

 

 これは今の時代だからこそ、どれくらい酷い政治だったか理解できるでしょう。このような、世の中にしないためにも「奪い合う」のではなく、「分け合う」のです。

 

 土地や家を「分け合う」ためには、土地や家をみんなで使えばいいのです。「土地や家をみんなで使う」と国民が決めたのなら、直接民主制の世界ではそれに向かって大きく変わっていきます。

 

土地調査を行い、大規模な自然災害が起こらない土地に最高のホテルを作り、そこに住みます。さらに、ホテルがある住宅地を高い壁で囲み、その周りを自衛隊で囲みそうすれば、自然災害で大きな被害に遭うこともなく、避難も必要ありません。危険からも守ることが出来ます。自分で土地を買い、家を買えば、誰も守ってくれませんので、あなたや家族自身で家を守らなければなりません。もし、ホテルに修繕が必要な場合でも国が補助してくれます。

食事はレストランで無料で食べられ、ホテルが生活に必要なものを全て提供してくれます。「分け合う」ことで人々の生活は遥かに豊かになるのです。新世界ノアでは「食」と同様にここに大きな国家予算を充てています。予算は食費を除く宿泊費1人あたり1カ月10万ベリーとすると、年間120万ベリーの費用がかかります。日本人が1億3000万人であるとして仮定し、計算すると156兆ベリーの予算でいいのです。

 

過去の人々は不可能だと思われていた高級ホテルに毎日宿泊でき、レストランでプロのシェフが作った料理を食べるのに必要な予算は299兆ベリーで済みます。現在の国家予算1000兆ベリーですので、残りの700兆ベリーの内、500兆ベリー以上を新たなエデン建築にあてています。1つのエデンを作るために必要な予算は10兆ベリーで、20万人が暮らすことが出来るように都市計画が作られます。そのため、毎年、新たな50のエデンが生まれ、1000万人分の居住スペースが増えていくのです。これらは全世界の人々の物であり、誰のものでもありません。たった13年あまりで日本人全員が住むことの出来る最高レベルの居住スペースが作られるのです。未来の子供たちはいずれ、エデンを作らなくても良い時代がやってきます。先代たちの労働によって作られた共有の資産によって、みんなが労働から解放されて幸せな生活を送れるのです。

 

このように、家や土地を「奪い合う」のではなく、「分け合う」方が人々は幸せになれるのですが、旧日本政府の洗脳教育によって奪い合うことが当たり前になっていました。人間は一度、物を手に入れるとそれを手放したくない欲が強いのです。「所有の自由」が認められていた世界では自分のものとして独占することで、満たされる人々も少なくありません。奪い合いの世界では他人の幸せよりも、自分自身や家族の幸せを優先します。奪われる側に回れば、生きていくことすらも難しくなります。安定して満足の出来る生活を送るためには「家」や「土地」を手に入れるしかありませんでした。政府が国民の生活を助けない世界では、人生のほとんどを犠牲にして手に入れた「家」や「土地」を手放すことは最も難しい問題だったのです。

 

「所有の自由」が認められていた時代では、あなたが手に入れた土地に知らない人が足を踏み入れたら、

 

「ここは、私の土地だから家だから出ていけ」

 

このように言うのが当たり前でした。奪い合って手に入れたものはこのようにして相手を拒みます。奪い合いの世界で生きている人々は資産を増やすことに必死になり、土地や不動産を手に入れようとします。人々が自由に土地を奪い合うため、自然が次々に壊され、理想的な都市開発も出来なくなってしまいます。国民の命や生活を守るための都市開発ではなく、経済優先となり一部の人々が儲かる都市開発が行われてしまいます。自然災害からですらも、国民を守れず、万が一戦争になった場合を想定もされていませんでした。

 

「土地」の奪い合い、これが国になれば「戦争」になります。

 

しかし、「奪い合い」の世界では「戦争」を引き起こす心の原因を誰もが持っていたのです。新世界ノアでは知らない人々と暮らすことは日常です。世界は家族です。エデンには世界中の人々が自由に住むことが出来ます。誰かの物ではなく、世界の全ての人達の物です。エデンは全世界の人達の物です。だからこそ、世界中の人達が守ろうとしてくれます。戦争をして壊すことなどありえないのです。奪う必要なんてありません。与えてくれるのですから。

 

「ここは、私の土地だから家だから出ていけ」と言う考えは生まれません。

 

奪い合いの四つ目は「仕事」です。

奪い合いを制し、社会を生き抜く上で、しっかりと教育されていたのです。この「奪い合い」の教育は社会に出てから教育されるわけではなく、子供のころから叩き込まれます。

 

子どもの多くは16年間も教育期間があります。目的は社会で生き抜く力を養うのではなく、学歴社会を政府が民間企業を通して作りだし、学歴で差別したからです。勉強の目的は「仕事」の奪い合いでした。学歴の無い人は、就職で不利になり良い職業を選ぶことが難しくなってしまいます。さらに、仕事を奪い合うと、仕事がある人は週5回、1日8時間労働になり、残業や休日出勤まで行いました。機械やAIの導入によってオートメーション化が進めば、仕事が無くなり、一部の富裕層ばかりが儲かる社会になってしまいます。仕事がない人は、政府が生活を助けないため生きていくことが出来ず、生活苦からの自殺者や犯罪が増えてしまうのです。

 

新世界では無駄な仕事を可能限り増やさないようにしたうえで、仕事を分け合います。その結果、人々は週に23回、15時間しか働きません。機械やAIの導入によってオートメーション化が進めば、人々はさらに仕事を減らすことが出来ます。もっとその先は、エデンを作る必要が無くなり、人類は仕事から解放されるのです。エデンの設計やデザインなど開発に関わる仕事の出来る人はほんの一握りの人しかいません。9割以上の人はエデンの建築の作業員やホテルマンとして働くため、大きな格差も生まれません。

 

これらは旧時代に行っていた奪い合いのほんの一部です。「所有の自由」が認められていたため、あらゆるものが奪い合いになり、物を所有し独占しようとします。それが当たり前で、奪い合いという感覚すらも麻痺していました。

 

 政府が国民に生きていくための支援を行わないために人々は必死にお金を奪い合わなければなりませんでした。奪われる側に回れば、生活していくことが出来ず家族を養えません。企業生存率は10年で6.3%、20年で0.4%、30年で0.021%でした。企業も必死で稼がなければ倒産し、路頭に迷ってしまいます。国民は生きていくために最低限度のものだけではなく、不必要に物を買ってしまいます。そのため、企業は必要以上に商品を大量生産し、地球環境を破壊していきました。

 

政府主導のもと自動車社会が生まれ、自動車を買わなければ、生活が不便になるように大規模な国家予算を公共事業に使いました。民間を通して国民はお金を搾取され、家と自動車だけで生涯年収の半分を奪われました。さらに、自動車社会は毎年8000人以上(72年間の平均)の死亡者を出し、65万人以上(72年間の平均)負傷者を出しました。また、自動車社会は温室効果ガスを大量に生み出す原因となり、地球環境を破壊しました。国民の経済負担や地球環境にやさしい、安全な交通手段を考え出し都市開発を考え、それに譲るべきだったのです。奪うことばかりを考え、さらには医療を儲けさせる仕組みを作ったのです。

 

 政府はあらゆる手を尽くして国民から搾取を行い、「お金」「時間」「知識」などを奪いました。政治には譲り、分け合う心が必要です。奪い合いを制した独占欲の強い権力者が政治を独占していては、世界中の人々が不幸になってしまいます。

 

 これらの全ては政府が「搾取の政治」を行なったことが原因なのです。搾取とは奪うことであり、分け与える政治とは反対の考え方です。一部の権力者が政治を握るとこのような世界になってしまうことを理解しておかなければなりません。そして、何よりも世界中の人々が独占欲を持たずに、奪うことなく、あらゆるものを分け合い共有して暮らしていくことこそ、全ての人が幸せな世界を作れるのです。